飛行機なんかに乗ってて離陸の際、徐々にジオラマみたく小さくなっていく建物、車、街並みを見ながら毎回思う
そこに人がいて、その一人ひとりに様々な幸せがあり、そして多かれ少なかれ問題を抱えて生きている
でっかいマンションを見てもいつも思う
そこに人がいて、その一人ひとりが生活し、その人らの人生がある
テレビを見て笑ってる人もいれば、仕事に追われて疲れている人もいる
好きな人と付き合えた人もいれば、好きな人と別れた人もいる
寝てる人もいれば、バチバチにパーティーしてる人もいるし、今産まれた人もいれば、今殺された人だっている
世界は狭い様で広い
自分の知ってることなんてほんの一握りなんだと無力であることを見せ付けられる感じがするのだ
それと同時に自分の悩みの小ささに「ま、どうでもいいか」と少し気が楽になることもある
とにかく人には人のライフがあるのだ
どの人を取っても、その時その時の恋愛だったり苦しい思い出、犯した罪、最高に楽しかったことなど、どこかにフォーカスすればきっと映画化できるほどのドラマがあるはずなのだ
僕の友人に北という男がいる
彼は「笑ってればなんとかなる」をコンセプトに生きているなんとも素晴らしい男なのだが、これが実際になんとかなっているのだ
若くして結婚、そして家を建て、船を買い、暴走族が乗るバイクを買い、酒を飲み倒している
彼のその金回りを見ているとどうもおかしい
小遣い制のライフではないのだ
我々周りでは彼を、「宝くじが当たった」と仮定し、推測すると全て辻褄が合うのだ
我々は拘束し、取り調べを続けているが決定的証拠が出てこない
日々尋問しているが彼自身、「当たってない」の一点張りで全く吐かないのだ
この彼の「宝くじが当たったことを吐かない」というところにもきっとドラマがあるはずだ
みんなに金をせびられる
遊んだことないヤツから急に連絡がくる
勧誘がくる
風俗に連れて行けと詰められる
ジャンボと呼ばれる恐れがある
闇討ちにあう
朝昼晩、腹が減ったと連絡がくる
とまぁ宝くじが当たったことない僕が考えられるのはせいぜいこの程度だ
そりゃ言いたくないだろう
しかし我々尋問する側にもドラマがある
当たったことを明らかにして、どうせ泡銭だから俺らに使えばいいと交渉できるのだ
宝くじが当たった男とそれを探る男たち
北野武監督にポップ且つシリアスに撮って欲しいものなのだ
僕らは最低なので柄本時生氏にやらしく最低に演じていただきたい
written by ハマゾノリョウジ
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