僕とアイツの大戦争 written by ハマゾノリョウジ


ご飯前とかの人は「このブログを読まない」という選択肢をチョイスすることをオススメしておきたい。
 
 
最初でざっくりと概要を書くと、僕が20歳そこらで大便を我慢している時の話だ。 
 
 
以前にもこのザ・ジユウチョウで小便を3時間我慢した時のエピソードを書いたが、当人的にはあの比の我慢ではなかったと記憶している。 
 
 
 
僕は「1日1便」など当然も当然で、数えたくないくらい大便をすることだって珍しくない。
 
 
それが快便、いわゆる便の通しが良いのか、はたまた単にお腹が緩いのか 
 
聞こえは違うが内容は同じなので僕はなんとなく耳障りの良い方の快便だと信じ切って今日まで生きているわけだ。 
 
 
 
 
 
あれはまだ僕が20歳そこらで滋賀県に住んでいた時の話。
 
 
その日は車で買い物に出掛けていて、その帰り道。 
 
運転していた僕は急にもよおした
 
 
僕だけなのか知らないが、基本僕のお腹は事前告知がない 
 
なんの予兆もなかったのに気づいたら既に門の前で「もう出してくれ」としきりにノックされるパターンが多いのだ。 
 
 
その日も突発的にアイツに門をノックされたもんで急いで近くの中古本屋に駆け込んだ。 
 
 
走ろうもんなら振動で門が開いてしまう恐れが考えられるのでキュッと鍵をかけた状態で膝を軽めに折り、膝より上に振動を与えないように、且つ早歩きという妙技で本屋に入店した。 
 
それは並々に注いだコップの水を一滴もこぼさないようにドリフトするイニシャルDのそれと同じとても高度な技術である。 
 
 
いらっしゃいませの声より先に本の匂いが僕の嗅覚に襲いかかる 
 
 
本屋の、特に中古の本屋のあの匂いはなぜあんなにも便を掻き立てるのか。 
 
ただでさえ開きそうな門にあの独特な本の匂いが鍵となり内側からノックしているアイツの応答に応えようと外側から南京錠を開けようとしてくる。 
 
僕しか持ってないはずの門の鍵を本の匂いはまるで恋人の如く、それはそれは当たり前に合鍵を持っているので皆さんも気をつけたまえ。 
 
 
 
急いで店内を見渡すがトイレの表記がない
 
 
そんなことがこのご時世にあろうことか 
トイレのない本屋なんて労働衛生法に引っかかるぞ 
 
震える身体を抑え、店員さんに確認する 
 
 
 
「あのぉ、トイレ貸してもらえません?」 
 
するとどうだ 
 
「すみません。当店のおトイレはお貸しできません。」 
 
 
鬼すぎ 
 
この顔と震えでおいらの門のコンディションがわからぬか 
正気の沙汰ではない 
 
貸せない理由を述べてみせろ 
 
トイレさえ貸してくれたら、もちろん帰りに本を買って帰るさ 
 
なにもトイレだけを貸せなんて強盗のようなことは言ってないじゃないか 
 
世の中はギブアンドテイク 
 
なぁそうだろう? 
 
というか、おたくの本の匂いで門が開きかけてるんだ 
 
もうお前のせだぞ 
 
貸せ
 
トイレくらい平等に貸してくれ
  
 
 

 
脳内で叫び散らして再度確認する

 
「え、無理ですか?結構やばいんですけど...」 

すると店員さん  

「すみません」 
 
 
おいおいおいおい
 
嘘だろ 
あたしゃ犯罪者かね 
 
君が鬼で、あたしゃ犯罪者なのかね
 
 
「結構やばい」というプライバシー情報まで公開したというのにこの仕打ち 
 
いや仮に僕が犯罪者でもだ

トイレは貸してよ

どんな奴でも腹の減ってる奴には一旦飯を食わせてやるサンジを知らんのか 
 
ワンピースを読め 
 
今すぐそこにある中古のワンピースのバラティエ編を読めこの鬼が 
 
 
 
 
そんな間にもアイツは「外の空気を吸わせい」とノックはドンドン強くなる 
 
もういい。急げ次だ

 
 
速攻で例のイニシャルDの技術で本屋を出て目指すはトイレのユートピア「コンビニ」 
 
 
ハンドルを握るその手は汗ばんでいる 
 
音楽も聴きたくない 
 
止める 
 
音を楽しんでる場合ではない 
 
全神経を門に大集合させないことにはアイツに突破されてしまう 
 
 
全部隊に告ぐ 
 
肛門を固めよ
 
 
戦争だ
 
 
アイツには負けられない 
 
20歳にもなってこの戦い、負けてる場合ではないのだ 
 
 
こちとら成人ぞ 
 
昨日今日生成されたお前らみたいなポッと出に負けてなるものか
 
 
 
もう肛門筋だけでは南京錠が保ちそうにないので、車の座席にいつもより強く座り門を押さえつけた 
 
 
映画でよく目にするドアを破られそうな時にタンスやらソファーで抑えるあの手法だ 
 
 
 
コンビニが見えた 

 
もし先に誰か入っていたら...

考えるだけもゾッする 
 
 
いやその時はもういいさ 
 
別に誰も知らないんだ 
 
小分けにして出せば
 
 
パンツとデニムは捨てよう 
 
全ては尽くしたよ 
 
あとは天に任せるしかない 
そうだろ神様 
 
 
 

 
そう考えたらなんとくスッと焦りが収まった。 
 
 
何か道のようなものが拓けた 
 
もしやこれが悟り 
 
ネガティブがポジティブに切り替わった瞬間だ

 
言うてる場合じゃない
 
 
例のイニシャルDの技術で、さらに今回は門に手を当てて物理的にも抑えての二重ロックでコンビニに入店
 
 
 
トイレのドアノブは 
 
 

 
 
勝った
 
 
I'm winner
 
 
自分の身体 
 
己の最大の敵は己なり 
 
先人たちの言っている意味がわかった 
 
 
手を洗い、清々しい気持ちで帰路につく 
 
普通がこんなにも幸せだったなんて
 
ハンドル握る手はもう汗ばんでいない
 
 
 
ありがとうコンビニ 
 
 
 
あ、コンビニでトイレだけ借りて出てきてしまった
 
 
世の中はギブアンドテイク 
 
 
僕は滋賀県のあのコンビニに未だ借りを返せていない。 
 
 
 
 
                 written by ハマゾノリョウジ

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