カエル written by ハマゾノリョウジ


雨が上がった夕暮れ時 
 

外はまだ少し明るくてなんとなく周りが見てわかる
 
 

雨上がりとその時間帯がミックスして哀愁が爆発している
 
 

僕はハンドルを握って交通量が僕しかいない山道を運転していた
 
 

雨上がりだからかカエルが活発だ 
 

僕の目の前を横断するのが一瞬見えた 
 

車を運転していてもハッキリとあの小さいフォルムがピョンピョンと必死に跳ねて横切るのが確認できたのだ
 
 

「轢いちゃったかな。。」 
 

そう思った瞬間、またも別のカエルが目の前を横断する
  
 

 

結果、僕はその山道でこの日だけで約10匹のカエルに目の前を横切られたのだ 
 

一匹目を偶然見て 

「運転しててもカエルみたいな小さい生き物に気付けるんだなー」と思ってからの10匹なのでもしかしたらもっと横切られているかもしれない

 
 

交通量が僕しかいないのに何故あのタイミングでリスクを冒してまでカエルは車を横切るのか
 
 
 

チキンレースでもしているのかと思ったがふと思う
 
 
 

車が危険というのは人間の考えであってカエルはそんなこと知る由もないのだ
 
 
 

雨上がり 
 
 

活発になったカエルが隣町の好きな娘(カエル)に逢いにウキウキしながら向かっていたかもしれない
 
 
 

仕事を終えて愛娘(カエル)が待つ家へ急ぎ足で帰っている途中だったのかもしれない
 
 
 
しかしそれも人間の考えうることで、本当のことはカエルにしかわからない
 
 

あのカエルは轢かれることなくちゃんと逢えたのかな
 
 

カエルにも人生があるはずだ
 
 

考えがあるんだ
 
 

カエルにはカエルのコミュニティがある 
 

この地球は人間が牛耳ってるのかもしれないが全ての生命にコミュニティがあるはずだ
 
 

悲しいかな、人間は人間以外のコミュニティを完全に理解することは出来ない
 
 

生まれ変わったらカエルになるのも悪くない

 
 

その世界はどうなっているのか
 
 

お前らに人間はどう写るのか
 

泉里香に飼われるカエルってのも悪くない
 
 

人間の時の意識を持ったまま泉里香に飼われるカエルに
 
 

彼女の谷間で圧死する一生も悪くないだろう

 
 

よし

 
 

僕の今世の課題はまず泉里香をカエル好きにさせることなのかもしれない

 
 

参考までに言っておくが僕はカエルがまじに無理

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