思い出の行き先 written by ハマゾノリョウジ


大量の粗大ゴミを捨てるべく、僕は週末に犬迫にいた
 
 

そこには粗大ゴミなどを持ち込んで処分してもらえる場所があるのだ

 

たまたま有給休暇をとっていた友人を騙し、モンスターエナジー1本でゴミ捨ての手伝いをさせた挙句、犬迫までの運転までしてもらうという将軍っぷりには我ながら天晴れなのだ
 
 

助手席に乗りながら普段あまり行くことのない犬迫の景色を観ていた
 
 

ゴミ処理場多くない?
 
 

山に行くに連れて「嘘だろ」と言わんばかりにゴミ処理の会社が連なっている
 
 

外に山の様に積まれるゴミ

 
 

エアーズロックの様にそびえ立つゴミ

 
 

かくいう僕も軽トラの荷台には130kgほどのゴミを積んで、まさにその山をデカくしようとしているのだ

 

雨晒しになったそのゴミの山を観て思う

 
 

ここに捨てられたゴミもかつては人に必要とされ、または親に泣きついてまでして買われた代物だ

欲しがられて、買われて、一緒に過ごしてた

 
 

全てのゴミに一緒に暮らしていた持ち主がいたのだ

 
 

それがいつしか必要とされなくなり、隅に追いやられ、白い目で見られ唾をかけられる

 

また買われる新たなモノに夢中になる持ち主の姿を見せつけられる

 

挙句、金を払ってまで捨てたいとさえ思われ、ここに捨てられる

 

思えば荷台に積んだ棚、ソファ、全てに思い出がある

悩んで買ったソファ

 

一緒に過ごした日々

 

アイスとかこぼしてしまった日もあった

 

そのままお前の上で寝た事もあった

お前の上でガチガチの夫婦喧嘩をしたこともあった 
  
 
  

僕は今からお前らを捨てる

  

でもお前らとの思い出は捨てずに心のHDDしまっておくことにするよ

 
  

ありがとう
 
 

なぁ、そこの積まれたゴミたちよ 
 

お前たちにはどんな思い出が詰まってるんだ? 
 

一人ひとり、教えてくれないか
 
 

助手席に座り、雨に打たれるゴミの山を見つめしんみりとなった
 
 
 
 

有給休暇をとってモンスターエナジー1本で土砂降りの中、運転されている友人の目は死んでいた 
  
 
written by ハマゾノリョウジ

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