その男、凶暴につき written by ツバサ


こんにちは。
ご存知の方も存じ上げない方もいるかと思いますが

このサイトを運営している

鹿児島のイベンター aka 酒クズ
 

あるいは、前之浜のお洒落ボーイ ことハマゾノ君の友達のツバサといいます。
 
 
 

以前から、一度くらい自分で文章を書いてみたいな〜という思いもあり、半年ほど前に『俺にもなにか書かせて〜』
 
『いいよ〜』
 
と被せ気味に即答で了承してもらったので、重い腰をあげてようやく処女作を書かせていただくことになりました。
 

もうかれこれ10年以上の付き合いですが、今回は僕とハマゾノ君の馴れ初めについて、遠い記憶を思い出しながら、つらつらと書こうかと思っています。
 
 
 

あれは確か17年程前、僕らが生まれ育った小さな街で全ては始まった。

そこに現在も営業している居酒屋的なお店で、当時僕は高校に通いながらせっせとアルバイトをしていた。
 

働きはじめて1年ほど経ち、僕もほどよくバイトに慣れてきた頃に1人の男がニューメンバーとしてやってきた
 

そう、その男こそがハマゾノ君だ
 

最初やたらとモジモジしてるし、口数少ないな〜と思ったのが第一印象で
 
(それが後々、大塚愛さんの『さくらんぼ』のPVを夜な夜な2人で観ながら盛り上がるとは夢にも思わないわけだが…)
 

出会った当初は僕も含めて、まぁ喋らん男2人だった。
 

今思い返せば、思春期をどうしようもないぐらい、こじらせている年頃。
 

地元の先輩後輩という関係も手伝い、僕に至っては一学年上ということもあって、年上風を吹かせたくることがカッコイイなんてちょっぴり思っていた時代
 
 

そんな面倒臭い男に気軽に話しかけるわけがない。

僕が同じ立場だったら余裕でデスノートに名前を書いてるだろう

2秒で

出会った頃の僕は彼の中では問題なくクソ野郎認定だったかと思う

 

今でも交友関係を続けているってことは、どこかのタイミングでクズ野郎ぐらいに昇格したのかもしれないが、そんなもんだと思う10代の頃って。
 

色々おかしな勘違いをして、試行錯誤しながら自分を探す旅に勝手に出かけてしまうのだ。
 
 

じゃあ何をきっかけに仲良くなったかというと

 
 
 
 

【正直、覚えてない】
 
 
 
 
 
これはおそらくだけど、所詮は男なので当時興味のあった、楽器だったり、音楽の話だったり、女の子のことや、夜遊び

 
その年代の男ならば、誰しも興味が湧いていたはずのワードをきっかけに徐々に仲良くなっていった気がする

 
 

何より彼は良い奴だった。

 
 
メチャクチャ明るいわけではないが、話しも僕より全然面白くて、当時好きだった洋服や音楽のジャンルもまあまあ似てたし、僕の友達周りにはあまりいないタイプだった。

 
 
 
徐々に打ち解けあった僕らは、バイト終わりに駅でたむろしてみたり、ギターをかきむしったり
 

当時一緒にバイトをしていた、ピーナッツみたいな男と3人で遊んだりしてバイトあがりの生活を謳歌していた
(ピーナッツ男に関してはまた別の機会に話すとしよう。アイツはアイツで異常なぐらい感情が無い)

 
 
遊んだりするようになった頃のある日、僕はハマゾノ君のとてつもなく根深い闇を目撃することになる

 
確かあれは外に出るのが嫌なぐらいの寒い冬の時期だった。

 
 
当時僕達がアルバイトをしていた居酒屋的なお店は周りにお店が少ないこともあり、連日、まさに目の回るような忙しさで、殺気立った先輩の社員さんや、店長に怒鳴られ、半泣きになりながらもせっせと仕事をしていた。

 

 
僕らがバイトをしていたお店はスペースの兼ね合いもあって、裏口を出て少し歩いたところに予備の冷凍庫を置いていて、店内の食材がなくなるとその都度、取りにいかないといけない仕組みだった。
 
 
 
この上なく非効率だ
 
 
 
あの日もそんな忙しい日で食材がなくなっちゃ〜取りに行く。

 
運動テストのシャトルラン
 
 
出たり入ったりのピストン運動
 
 
そんな往復の繰り返し。
 
 
このしょうもない、無駄な動きに疑問を感じながらも僕は時給600円の口答えを許されない店員、客の飲み会の奴隷

 
サンプリング by THA BLUE HARB
 
 
お金を稼ぐ為にはやるしかなかった。
 
 
上部開閉式の縦長の冷凍庫は 冬場の乾燥した空気によって、かじかんだ僕の手に容赦無く冷気をそそぐ

 
 
忙しさのあまり、ごちゃ混ぜとなった庫内を、まるでトレジャーハンターかのごとく食材を探し当てる苦行のような作業
 
 
 
さながら芋掘り
 
 
 
犬が用を足した後にするアレ 
 
 
1秒でも早くこの寒さから逃れる為に必死だった
 
 
ハマゾノ君も例外なく、バイトをしていた全員がピストン運動をしていた
 
 
 
 
 
 
ある時、ハマゾノ君が食材を取りに行った後、僕も違う食材を取りにいかないといけなくなったので、後を追うように裏口から外の冷凍庫に向かった
 
 
 
そこで僕は衝撃的な光景を目にする
 
 
月明かりに照らされながら、ハマゾノ君は芋掘りをしていた。
 
 
 
 
ついでになんか口が動いてる
 
 
 
え!!!!??
 
 
 
なんか食ってるーー!
 
 
 
あろうことか彼は、食材を探すついでに当時そのお店でスマッシュヒットをしていた
【大根アイス】にかぶりついていたのだ
 
 
 
そして次の瞬間 彼はその【大根アイス】を道路を挟んだ向かいにある川に向かってヒョイっと投げたのだ。
 
 
 
 
「ポチャン」
 
 
 
見事な音がした。
 
 
大根アイスは真冬の寒い川の中に放り出された。
もはや救出することは叶わないだろう
 
 
今思い返せば色々まずい
 
 
多分あの川は今頃、大根が育って大変なことになっているだろうし
 
 
そもそも大根アイスってなんよって感じだし
 
高校生にしてそんなことをしでかす、ハマゾノ君に深い闇を見た気がした
 

それからというもの僕はハマゾノ君に対して一目置くようになる
 
 
 
そしてアレから十数年の時が経ち今でもハマゾノ君とはよく会う。
 
 
 
相変わらずオシャレでホントにいい奴だ。
 
 
 
ただ一緒にお酒を飲み、泥酔したときの彼は、あの日みた、狂気にも似た行動に重なるものがある
 
 

僕は未だにあの時、何故彼が【大根アイス】を投げたのか聞けないでいる
 
 
人間の闇は深い
 
 
 
知らなくても良いこともあるのかもしれない
 
 
 
これをみた、あなた自身もハマゾノ君から深い闇を垣間見たことがあるというなら
 
 
 
 
もうこれ以上は詮索しないほうがいい
 
 
 
 
 
その男、凶暴につき

 
 
                    written by ツバサ

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