夜
周りに外灯のない場所で、ふと夜空に目をやる
昔は「星が綺麗だ」とか周りが言ってたからなんとなくそうなのかと思ってる程度だったが最近は星の綺麗さにガチビビリしている
無数にある星
ふと空に目をやった瞬間、いつもオリオン座が目に飛び込んでくる
大量にあるスターダストの中から、どういったわけかオリオン座だけがバチっと僕の目に飛び込んでくるのだ
こういった、「なぜかよく見る」ことはよくある現象だ
「変なおばさん、最近なぜかよく見るなー」と思ったらまず、変なおばさんが急増したと思いがちだ
だがこれは実は自分自身に原因があるということに気付いた
自分が無意識に「変なおばさん」を探しているのだ
オリオン座の件でいくと、僕は、オリオン座しか知らない=星を見たらオリオン座を無意識に探している
ということになる
なんだってそうなのだ
子どもが産まれた途端、子供服屋さんが多すぎてひくほど存在していることに気付く
今までもずっとあったのに見てなかっただけなのだ
スターダストの中には射手座だって蟹座だってカシオペア座だって常にあるんだ
変なおばさんも変なおじさんも美人も痴漢も常にいる
要はソコに目を向けるか向けないかだけなんだな
誰かが言った
「好きの反対は嫌いじゃないんだ。無関心だよ。」
嫌いってのは一応目を向けているのだ
なんなら「嫌い」は極めて「好き」に近いとすら思っている
きっとちょっとしたことでコロッと好きに転がってしまう可能性を秘めている
ところがこの「無関心」ってヤツは一番の悪なのだ
可能性のかけらもない
「無」だけがあるだけで、それ以外はなにもない
中学時代の数学の先生が口癖のように言っていた
「「無い」ということが「有る」の!」
「このオヤジついにトチ狂ったか」としか思ってなかった
否、中学生にガチギレ状態で浴びせる罵声としては内容が深すぎて難しすぎるので多分トチ狂ってたのだ
だが今ではよくわかる
「無い」ということが「有る」ということは「無い」ということなんだ
悲しい
「無」であったばっかりに自分の視野も狭めているなんて
もっと視野を広く持たねば
なんかもったいない気がした
そして僕はまた今日も田舎でオリオン座を見つめている
written by ハマゾノリョウジ
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