憎めないその口 written by ハマゾノリョウジ


先日、僕の実家に泊まる機会があり、久々に親と食事をした。 
 
 
 
とくに話すこともないが、この話すこともない感じがまた少し懐かしいなとしみじみしながら母親の作った飯に箸を伸ばすのであった。 
 
 
 
なんとなくついているテレビでは「デヴィ夫人」が若者に対して上品に喝を入れている 
 
 
「あなたたちにはアンビシャスがないのよ」 
 
 
デヴィ夫人が言う 
 
 
 
感化されたのか母親がテレビに目をやりながら、割とハッキリと言う 
 
 
「Boys Be Ambitious」 
  

立て続けに母親が言う 
 

 
「青年よ、大志を抱け!」 
 
 
 
  

少年な 
 
 
 
 
僕がドライに突っ込んでも笑ってごまかすところからして、きっとまた次、「少年よ大志を抱け」みたいなことを言おうとして同じ過ちを繰り返すであろう 
 
  
 

同じテレビ番組には格闘家、那須川天心氏も出演していた
 
 

彼の姿を見て母親は再度その口を開いた
 
 

「この子は強すぎて怖い」
 
 
 

確かに彼は強い
 
 

母親にとってはそれが恐怖にまで発展しているのだ

 
 
さも来月那須川天心との対戦を控えた格闘家の如く、母親は震えている
 

 

僕は何も言わず飯に箸をやる
 
 

 

するとまたテレビに向かって母親がいう
 
 
 

「この人誰だっけ?最近よく出るよね」
 
 
 

しばらく離れて暮らしているとウザかった口数の多さも可愛く思えるのだ

 
 
 

僕もテレビに目をやると

 
 

 
 

霜降り明星のツッコミだ
 
 

確か名前は粗品
 
 
 

母親は思い出したのかこれもまた割とハッキリと
 
 

 
「そうそう、凡人だ!」

 
 
 
 

凡人

 
 

粗品

 
 

まぁ 
 

テイストは近い
 
 

言わんとしていることはわからんでもない
 
 

雰囲気は伝わる
 
 

うちの母親にテレビを見させておけば勝手に喋くり倒すので面白いかもしれない
 
 

そう思えた今の僕だが、腹のなかでは笑いながら、まだ親の前ではクスッと笑うくらいの素っ気ない態度をとってしまうのだ 
 
 
       written by ハマゾノリョウジ

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