慣れの果て written by ハマゾノリョウジ


慣れ 

慣れというものほど恐ろしいものはない
 

子供の頃、年末になれば感じていたあのワクワク感もいつの日か薄れ、毎年12月の31日になっても尚、ズリセンしかしてないといったようなマンネリ具合なのだ
 

「今年全然年末って感じしないよね?」
 
 

毎年毎年言っては言われての繰り返しで耳にタコが出来て、そのタコの耳にもタコが出来ている始末
 
 
 
人間は慣れてしまう生き物だ 
 

キーレスの車に慣れていれば代車が鍵を差すタイプならドアを開ける直前まで忘れている

 

冬が来ればヒートテックを上下着るのが普通になり、春になってヒートテックを脱いだらヒートテックに慣れすぎて全裸で歩いている感覚に陥るのだ
 
 

慣れというものは時に素晴らしいものへと姿を変えてみせるが、時に横着で、また、とんでもない思い込みへと導くのだ
 
 

SNSが発達し、しばらく顔を合わしていないかつての友人でもSNSを見ていれば頻繁に会っている気がしてしまう 
 

もっと言えば2回くらいしか会ったことのない人もSNSを見ていれば随分知り合った気になって3回目会った時に一方的に「よく知った仲」みたいな感覚になって「おー!」となるが直後、3回目だと現実に戻り変な感じになる

 

20年以上前だろう
 

当時僕は山下達郎氏にハマっていた
 

「いつか晴れた日に」という曲がテレビで流れ、ガンノリのトランス状態だった僕の頭の中は山下達郎オンリー
  

脳内はヤマタツワールドへトリップしていたのだ
 
 

これは山下達郎への慣れだ
 
 

 

その当時は夏 
 
 
 
家の窓が網戸になっていて、ふと目を網戸へやるとそこに山下達郎本人の顔があった

 
 

ありえないというか、何を言っているのか分からないだろうが山下達郎本人の顔だけが網戸の、しかも下の方にあったのだ

  
 

顔だけのまさかのご本人登場に心臓が破裂して、目をこすりしっかり見るとだったのだ

 
   

 

この様に頭の中がヤマタツワールドにすっかり浸かってしまっていると猫すら山下達郎に見えてしまう
 
 
  
そうやって思い込めばなんでもそう見えてくるのだ 
 
  

 
まぁなんというか、慣れというか、その、思い込みはある意味怖いということで今回はどうにかなりませんかね 
 
 
 
    written by ハマゾノリョウジ 

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